
「METEYUNDE」Produced by TSUUZAKI MUTSUMIは、通崎睦美がプロデュースするゆかたブランド。
メテユンデは、古来、馬手弓手(めてゆんで)と表記され、馬の手綱をとる右手と弓を握る左手をさした。右手・左手のことをいう。両手で形を作り上げるものの象徴としてロゴでは「あやとりの糸」をイメージ。右手と左手を交錯させながら、時には違う人の手を行き来しながら自由に形を変化させ常に新しい形を創り出すあやとり。右手と左手、過去と未来、人と人で織りなす色とカタチを表現している。
2003年に株式会社川島織物(現、株式会社川島織物セルコン)から発表。2008年から、J-Spiritがその運営を引き継いだ。
商品構成は、「通崎の収集する銘仙着物(1930〜1960年代)から復刻された図案」と「現代アーティストによる新作図案」からなる。 2008年度新作は、現代アーティストの作品のみ。

マリンバ奏者・通崎睦美が銘仙を中心としたアンティーク着物のコレクターとして業界の内外を問わず広く知られることとなったのは、その数によるのではなく、そのコレクションの質によって評価された結果であると言っていい。雑多な「古着」の中からセンスのいい稀少な柄を選び出す「目」。特に若い編集者、ライターからの信頼は厚く、数多くの若い女性向けの情報誌には頻繁に登場している。その通崎睦美ならではのカッティングエッジなゆかたとしてメテユンデは企画された。
メテユンデは大きく2つの構成要素_通崎睦美が所有する1930〜60年代の銘仙コレクションの中からの図案復刻ゆかた、そして現代美術の現場で活動するアーティストによる新作図案ゆかた_からなる。これらには時代を超えるデザインの共通性が見られ、長い時を経て日本のクリエイターの共演が実現したといっても過言ではない。
「通崎睦美がよいと思うモノ」という基準で、復刻する図案、参加するアーティストが選ばれた。自分の感覚だけを頼りに、時代を問わず並列させてしまうところにアンティークを愛し、同じように現代の作家達にも目をむける通崎のバランス感覚、日本のクリエイションへの信頼、センスが表れている。
通崎が選択したのはアンティーク着物図案の中でも特に当時のモダンアートの動向と呼応したと思われる作品群であり、現代美術家の選択においてもよほどその現場に興味を持っていなければ知ることのない作家達。まさに自身の目だけを信じての挑戦がここにある。
日本人は古来「洗練されたセンス」を持っていた。しかし、現在、西洋的文脈によって読み替えられた日本美術史、広く流布されたブランド神話によって多くの人はそのセンス失ってしまっている。日本人の洗練は「内容ではない、デザインである」という態度が確定したときに定まったとされている。日本人の底力は「どんなものでも,飾り方次第で立派に飾れる」というデザイン能力にあって、この見立ての能力こそが日本の美を底辺で支えていた。「飾るべき価値のある物」などという信仰に走ったとき日本人のセンスは最悪になってしまった。
着物業界でも現在は、古典という価値の定まったものの焼き直し、著名人のプロデューサー、どこそこのデザイナーという、他方面の権威へのぶら下がりばかりが目に付き、新たな着物ファン層の開拓をすべく挑戦は影を潜めている。その中で唯一若い着物ファンを集めているのがアンティーク着物市場。そこには時代を経てもなお伝わってくる制作者の挑戦がある。
この失われた「センスと挑戦」こそが、通崎がメテユンデに託したコンセプトなのではないだろうか。
通崎は昨年上梓したエッセイの中でも、骨董市で出会った端切れを軸に仕立てたエピソード等を紹介しているが、彼女の日常に無理なく同居しているデザイン能力・センスがメテユンデのプロジェクトでも遺憾なく発揮されている。
■谷本天志
1991年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻過程修了。近年は、キャンバスの
枠にとらわれず、書籍の装幀、着物のデザイン、建築家とのコラボレーションや展覧
会の企画など、ジャンルを超えた活動をしている。 |
|
|
1967年京都市生まれ。5才よりマリンバを始める。1992年京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。91年のデビューコンサート以降、自身でコンサートをプロデュースし、毎回新しい試みに取り組んできた。常に作曲や編曲の委嘱を活発に行い、独自のレパートリーを開拓。ピアノ、ヴァイオリン、アコーディオン、箏、三絃を始めとする様々な楽器やダンスとのデュオ、マリンバ・トリオ、室内楽やオーケストラとの共演など、多様な形態で演奏活動を行っている。また、彫刻家岩野勝人と共に、オリジナルの木琴を作って奏でるワークショップも展開。CDに「MUTSUMI〜Songs
from Asia」(ewcc0003)「M×PIAZZOLLA」(ewcc0005)「届くことのない12通の手紙」(ALCD9029)。
また、2005年2月、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(指揮/井上道義)で、往年の名木琴奏者平岡養一が初演した紙恭輔「木琴協奏曲」(1944)を平岡氏の木琴で演奏したことがきっかけで、その木琴、マレット、そして所蔵の楽譜を譲り受けた。以後、氏の軌跡をたどりながら、木琴の新たな可能性を探る活動を始める。2007年7月14日林光「木琴協奏曲」を委嘱初演(下野竜也指揮、京都市交響楽団)、8月7日には木琴によるCD「1935」(ALCD9071)をリリース。
一方、2000年頃よりアンティーク着物の着こなしが話題となり、400点以上にのぼるアンティーク着物コレクションやライフスタイルが様々なメディアで、紹介される。京都や着物を中心としたエッセイの執筆、講演も行う。2004年には、アサヒビール大山崎山荘美術館にて、着物から現代アートまでの多彩な「好み」を集めた「通崎睦美選展〜通崎好み」開催。2005年には、再構成され、内藤記念館(宮崎県延岡市)和敬塾本館(東京都目白、旧細川侯爵邸)でも開催された。著書に「天使突抜一丁目」「通崎好み」(淡交社)「ソデカガミ」(PHP研究所)。
|
| |
| |
|